4 ミクロデータ

ミクロレベルのデータベースとしてはサーベイ調査が中心になります.

    1. General Social Survey: gasser
    1. European Social Survey: essurvey

4.1 General Social Survey – gssr

General Social Survey(GSS)は、現在、アメリカで実施されている全般的な社会調査です。現代のアメリカ社会に関するデータを収集し、これによりアメリカの人々の態度、行動、属性の傾向をモニターできます。GSSは最大80年間のトレンドを追跡することができます。

GSSのGet the Dataではデータはstataおよびspssのフォーマットで提供されています。このためRで利用するためにgssrが開発されています。これは、General Social Surveyの累積データ(1972-2018)と3つのWaveのパネルデータをまとめたデータパッケージです。

gssrは,複数のデータセットを便利な形式にまとめたデータパッケージです.パッケージ内のデータが比較的大きいため、開発者のGithubサイトから直接インストールします.

remotes::install_github("kjhealy/gssr")
  library(gssr)

4.1.1 データの読み込み

GSS累積データファイルはサイズが大きいため、パッケージを起動したときにデフォルトでは読み込まれません.データセットの1つを読み込むには、まずライブラリを読み込み、次にdata()を使ってデータを利用可能にします。例えば、累積GSSファイルを次のように読み込みます.

  data("gss_all")

RStudioの[Environment][Data]をみると、64,814の観察値と6,108の変数を有するデータセットgss_allが読み込まれたことが分かります.

変数は膨大であり、これを理解するには簡単ではありません.そのためデータの変数の情報を含んだデータフレームgss_docを読みこましょう.

 data("gss_doc")

4.2 European Social Survey – essurvey

ヨーロッパ社会調査(European Social Survey: ESS)はヨーロッパ全域で実施されている学術的なクロスナショナルな社会調査です.すでに2002年から2018年にかけて2年おきに9回のラウンド(ESS Round 1からESS Round 9)実施されています. ESSは次の表において示されているように幅広いトピックをカバーしています.

R1 (02) R2 (04) R3 (06) R4 (08) R5 (10) R6 (12) R7 (14) R8 (16) R9 (18)
メディアと社会的信頼
主観的厚生
ジェンダー、家計
社会人口統計
人々の価値観
移民
市民参加
保健とケア
経済的道徳心
家族…厚生
生活のタイミング
個人…厚生
福祉に対する態度
高齢化
正義
民主主義
保健の不平等
気候変動に対する態度
正義と公正

注:R1は第1回のラウンド,カッコ内の01は2001年を示す.以下同様.○印は調査が実施されたトピックを示す.

essurveyパッケージは、このヨーロッパ社会調査(ESS)データを簡単にダウンロードできるように開発されたRパッケージです。このパッケージはラウンド(異なる時点での同じ調査を示す)、選択された国のラウンド、どのラウンド/国が利用可能かを表示するためのいくつかのヘルパー関数を持っています。

essurveyパッケージの使い方は簡単です。関数には、import_*show_*という2つの主要なファミリーがあります.これらの関数のおかげでヨーロッパ社会調査(ESS)のウェブサイトにアクセスする必要はほとんどありません.

4.2.1 事前準備-ESSの認証とインストール

4.2.1.1 ESSの認証

ESSを利用するためには事前にアカウントを作成する必要があります.登録ページに入り、アカウントを作成してください。登録が完了したら、メールアカウントにアクセスしてアカウントを認証すると、データにアクセスする準備が整います。essurveyの機能の中には、メールアドレスを必要とするものがあります.

4.2.1.2 essurveyのインストール

   install.packages("essurvey")

ESSのデータをダウンロードするには、データをダウンロードするたびにEメールを認証する必要があります。Eメールを環境変数として設定するには、set_emailを使用します.

  set_email("自分のメールアドレス")

一度これを実行すると,前の行を削除できます.たとえばimport_*を呼び出した場合、環境変数として保存された電子メールを自動的に探します.

ESSで利用可能な国やラウンドがわからないとします.そうした場合show_* 関数群が役に立ちます.どの国が参加しているかを調べるには、show_countries()を使います。

  show_countries()